医療法人社団 心清会
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双極性障害(躁うつ病)

双極性障害(躁うつ病)とは

双極性障害とは、気分が高揚したり活動性が増加したりする躁状態と、抑鬱気分や気分の低下、活動性の減少などが見られるうつ状態が繰り返し現れる病気のことです。躁うつ病とも呼ばれており、双極Ⅰ型障害と双極Ⅱ型障害とにわけられます。

双極Ⅰ型障害は激しい躁状態をうつ状態を繰り返すもの、双極Ⅱ型障害は軽躁状態とうつ状態を繰り返すものです。日本人の約500人に1人が双極性障害だと言われています。もっと少ない割合で見られるとする見解もあるようですが、どちらにせよ珍しい病気ではありません。発症のしやすさに男女差はなく、20~30代前後で発症することが多いと言われています。

双極性障害が起こる原因については、まだはっきりとは分かっていません。現時点では、遺伝的な体質によって脳の神経伝達物質の機能が変化することが原因だと考えられています。ノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質が正常に働かず、情報の伝達がうまくできなくなってしまうのです。また、ストレスによって双極性障害を発症することもあります。性格によるものと見られることもありますが、双極性障害は脳の病気です。ご自身も周りも病気であることを自覚しにくいため、治療が遅れることもあります。

適切な治療をせずに放置しておくと、何度も何度も躁状態とうつ状態を繰り返し、社会的信用や仕事、財産などを失ってしまうことにもつながるので注意しましょう。

双極性障害(躁うつ病)の症状

双極性障害は躁状態にあるときとうつ状態にあるときとで症状が大きく異なります。

〈躁状態のときの症状〉

躁状態にあるときは、気が大きくなるため不要なものや普段は買わないような高額なものを簡単に購入してしまいます。活動的になっているため、ほとんど眠らなくても平気です。

躁状態でとくに問題となるのは、明らかに異常な行動をしているにもかかわらず、病気であると認識しにくいことです。周りから見ると「何か病気なのでは」と感じることが多いのですが、本人はなかなか気が付きません。上記のような症状がしばらく続くため、仕事や家庭でも大きな支障が現れます。

〈うつ状態のときの症状〉

うつ状態で見られる症状は、うつ病の症状と基本的には同じです。躁状態のときとは打って変わって、気分が沈んだ状態が続きます。物事への興味がなくなり、やる気が起きません。寝付きが悪くなったり、寝ても途中で起きてしまったりなどの症状も見られます。

双極性障害(躁うつ病)の治療

双極性障害の治療には、おもに「薬物療法」と「心理社会的治療」の2つがあります。

〈薬物療法〉

薬によって症状を安定させる治療です。気分安定薬や抗精神病薬などを使用します。気分安定薬は、躁状態とうつ状態の波を小さくし、症状を改善したり予防したりする薬です。

基本的には気分安定薬を使うことで治療を進めていきます。抗精神病薬は躁症状やうつ症状を抑える薬です。双極性障害は躁状態なのかうつ状態なのかで症状が大きく異なるため、症状に応じて適切な薬を使用していきます。

〈心理社会的治療〉

心理社会的治療は、病気に対する理解を深め、考え方を変えたり睡眠や生活リズムを整えたりすることで症状の緩和を目指す治療です。病気や治療薬の性質を理解する心理教育、客観的で合理的な考え方ができるように練習する認知行動療法などが行われます。

双極性障害とうつ病の違い

双極性障害であるにもかかわらず、うつ病と最初に診断を受ける方が少なくありません。うつ病と診断された方のうち、10人に1~2人は双極性障害に診断が変わると言われています。実は、双極性障害とうつ病を見分けることは難しいのです。

双極性障害は躁状態から始まる方もいればうつ状態から始まる方もいます。躁状態で受診すればすぐに双極性障害の診断がつきやすいのですが、うつ状態で受診するとうつ病と間違われてしまうことがあるのです。

双極性障害は躁状態とうつ状態を繰り返す病気、うつ病は気分の落ち込みややる気が出ないなどのうつ症状のみが出る病気です。正しい診断が出るまでには、4~10年ほどかかることがあります。

これは、患者自身が躁状態を病気と認識していないこと、医師とのコミュニケーション不足などが原因です。躁状態は性格的な問題ではなく病気ですので、症状を見逃さず医師に相談するようにしましょう。

必要な人に、必要な医療を

双極性障害がある方のなかには、自分が病気だと気づかず受診を拒んだり、うつ状態のため外出が難しくなり受診できない状況に陥ったりすることがあります。しかし、双極性障害が自然治癒することはほぼありません。正しい治療を行わず過ごすことで、症状が悪化してしまうこともあります。

どうしても受診が難しい場合は、在宅医療を活用するのもよいでしょう。在宅医療なら外に出ることなく自宅で必要な治療を受けられます。外出が難しい方でも適切な治療を受けられることが大きなメリットです。「治療を受けたいけど受診できない」「本人が受診を拒んでいる」という場合は、ぜひ在宅医療を検討してみてください。

本人が医療機関を受診することが難しい場合は、まずは地域相談支援センターや保健所といった公的機関に相談することで、専門機関につながり、個々のケースに合った援助や医療の提供を受けることが可能です。

医療法人社団心清会では、ご本人およびご家族が困っていながらも通院が困難な方を対象に、精神科医療を基盤とした在宅医療を行っています。