医療法人社団 心清会
精神科・心療内科・内科・訪問診療

うつ病

うつ病とは

うつ病とは、脳のエネルギーが不足して憂鬱な気分が続いたり食欲がなくなったりなど、さまざまな症状が出る精神疾患のことです。うつ病といえば精神的な症状が出るというイメージが強いかもしれませんが、実は身体的な症状も出ます。

そのため、うつ病になると精神と身体ともにダメージを受け、生活に支障が出てしまうことが少なくありません。うつ病は、体を動かすエネルギーが欠乏した状態です。エネルギー不足の状態が続くため、時にはベッドから起き上がることすら難しくなることもあるでしょう。

健康な方であれば、エネルギーが不足しても体の治癒力によって時間が経つことにより回復していきます。一時的に落ち込んだり食欲がなくなったりしても次第に元気になっていくことがほとんどです。

しかし、うつ病の方は、時間が経っても回復しないため、症状が長引いてしまいます。回復するどころかエネルギー不足が深刻化して症状が悪化してしまう方もいるほどです。

よく、「うつ病は甘えだ」と言われることがありますが、決してそのようなことはありません。たしかに、落ち込んだり食欲がなくなったりすることは誰にでもありますが、うつ病の方はそういった症状がなかなか回復せず長引いてしまうのです。落ち込む原因が自分でよく分からないときもあります。

症状が悪化すると仕事や学校に行くのが困難になり、生活に支障が出ることもあるため、できるだけ早く適切な治療を始めることが大切です。

うつ病の症状

うつ病では、大きくわけて「精神症状」と「身体症状」の2種類が現れます。

〈精神症状〉

うつ病になると、上記のような精神症状が見られるようになります。すべての症状が出るわけではありませんが、複数の症状に悩まされることが多いでしょう。

何をやっても楽しいと感じられないため、笑顔が減りどこかへ出かけることが減ります。喜びを感じることもなくなり、何かをやろうとする意欲がなくなることも多いです。集中力が低下するため、ミスが増えたり運転中にぼーっとしてしまったりすることもあります。

また、常に気分が落ち込んだ状態が続くことから、ベッドから起き上がれなかったり学校や仕事に行けなくなったりする方もよく見られます。人によっては、死や自殺について考えることが多くなり、リストカットや自殺未遂をすることもあるため、希死念慮がある場合は注意しなければなりません。

〈身体症状〉

うつ病では、このように一見するとうつ病とは関係ないのではと思えるような身体症状も見られます。食欲低下や頭痛があっても「たまたま体調が悪いだけだ」と症状を見過ごしてしまい、うつ病であることに気が付かないまま適切な治療を受けずに生活している方も多いものです。

うつ病の方のなかには、精神症状ではなく上記のような身体症状を訴えて精神科や心療内科以外を受診される方もいます。うつ病であることに気が付かず適切な治療を受けられないまま過ごしている方は私たちが思っているよりも多いでしょう。病院を受診しても症状が長く続いている場合は、うつ病の可能性があることも考慮して受診する科を選ぶことが大切です。

うつ病の治療

うつ病の治療には、次のようなものがあります。

風邪を引いたり骨折をしたりしたら体を休めるのと同じで、うつ病になった場合もまずは体と心を休ませる必要があります。うつ病は脳のエネルギーが不足して起こるものなので、まずしっかり休んでエネルギーを補いましょう。

うつ病の重症度は人によって違うため、休養の取り方にも違いがあります。仕事や残業を減らしたりするだけで済む方もいれば、仕事をしばらくお休みする必要がある方もいるので、その人にあった休養を取ることが大切です。

薬物療法では、セロトニンやノルアドレナリンを補ったり、これらの働きを良くしたりするような薬を使います。うつ病の原因は明確には分かっていませんが、一説によると脳の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンが不足したり、働きが悪くなったりしていると言われています。

抗うつ剤と呼ばれる種類の薬を使うと、セロトニンやノルアドレナリンがしっかり機能するようになるため、うつ病の症状を改善することが可能です。

このほか、漢方薬や抗不安薬などが使われることもあります。その人によって合う薬は違うので、医師とよく相談して自分に合う薬を見つけましょう。

うつ病は環境要因によっても発症する病気です。精神療法では、環境要因を解決することで、自分の思考パターンや行動パターンを見直していきます。精神療法には認知行動療法や森田療法などさまざまな治療法がありますが、どの方法を行う場合でも自分が主体となって治療に参加していくことが大切です。自主性がなければ精神療法を行っても十分な効果は出ません。

必要な人に、必要な医療を

うつ病をおもちの方のなかには、通院するのが難しいと感じている方もいるのではないでしょうか。精神科や心療内科に通っていることを周りに知られたくないと思っている方もいるでしょう。「治療をしたいけど通院するのが難しい」「抵抗がある」という方は、在宅医療を検討してみてはいかがでしょうか。

本人が医療機関を受診することが難しい場合は、まずは地域相談支援センターや保健所といった公的機関に相談することで、専門機関につながり、個々のケースに合った援助や医療の提供を受けることが可能です。

医療法人社団心清会では、ご本人およびご家族が困っていながらも通院が困難な方を対象に、精神科医療を基盤とした在宅医療を行っています。