医療法人社団 心清会
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ADHD(注意欠如・多動性障害)

ADHD(注意欠如・多動性障害)とは

ADHDとは、以下の3つの特性をもつ生まれつきの精神疾患のことです。

「授業中に歩き出してしまう」「じっと座っていられない」などの症状が目立つ場合は、もしかしたらADHDの特性があるかもしれません。ADHDは神経発達症群(発達障害)とも呼ばれており、一部の能力や情報の獲得能力に偏りが見られます。

そのため、生活に支障が出てしまうことが少なくありません。「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特徴をすべてもっていることもあれば、「不注意」だけ目立ったり、「多動性」と「衝動性」のみが目立ったりと、人それぞれ症状が異なります。

ひとくちにADHDといっても、その人によって対応の仕方や治療も変えていかなければなりません。人によっては、子どものうちはADHDの特性が目立っていたとしても、大人になると自然と落ち着いてくる場合があります。

また、ご本人がADHDとうまく共存していく方法を見つけることで症状が目立たなくなっていくこともあるでしょう。ADHDを完治させることはできませんが、適切な治療や対策を行うことで、自分の特性を活かしながら社会に出ることができます。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の症状

ADHDの3つの特性である「不注意」「多動性」「衝動性」では、それぞれ次のような症状が見られます。

〈不注意〉

ADHDの方は何かに注意を払うことがとても苦手です。そのため、よく忘れ物をしたり物をなくしたりします。学校に持っていく物を家に忘れたまま出ていってしまったり、持ち帰るべきものを学校に置いてきてしまったりなどはよく見られる症状です。

友達とした約束を忘れることも多く、友人関係に影響が出ることも少なくありません。何かを最後までやり遂げることも苦手です。宿題をしていても途中で遊びだすことがよくあります。あれこれといろいろなものに手を出すため、中途半端なものがどんどん増えていくのもADHDの代表的な症状です。

整理整頓も苦手なため、常に部屋が散らかった状態が続きます。何度片付けてもすぐに散らかしてしまい、片付けを始めたとしても途中でやめてしまうため、部屋は散らかっていく一方です。順序立てて行動することも苦手なので、段取り良く動いたり時間割に合わせて学校に行く準備をしたりすることもできません。

〈多動性〉

多動性とは、簡単に言うと落ち着きがなく動き回ってしまう症状のことです。じっとしていることが苦手で、手足をそわそわ動かしたり貧乏ゆすりをしたりします。大人しくしていることも苦手なため、授業中に歩き回ったり出かけ先ですぐどこかへ行ってしまったりすることも多いです。落ち着きがないことが多いものの、熱中すると自分の世界に入るため、周りから声をかけられても気が付きません。

〈衝動性〉

相手がどう思うかを想像して話すことができないため、思ったことをすぐ口に出してしまいます。そのため、友人関係がうまくいかず孤立してしまうこともあるでしょう。自分が話したいことがある時は、相手が喋っている場合でも途中で割り込んで話し始めてしまいます。

お喋りを始めると止めることが難しいので、静かにしていなければいけない場面も苦手です。順番を守ることができず、すぐに割り込んでしまう様子もよく見られます。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の治療

ADHDそのものを治すことはできないため、薬物療法や生活への介入を行うことで症状を軽減させる方法が一般的です。

〈薬物療法〉

ADHDの不注意や多動性などを抑える効果がある薬を服用します。ADHDを発症する原因ははっきりとは分かっていませんが、脳内のドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質がうまく働かないことが原因だと考える説が有力です。薬を服用することで神経伝達物質の量を調節したり、働きやすくしたりできるため、ADHDの症状を抑えることができます。

〈環境への介入〉

ADHDの方が暮らしやすい環境作りを行うことも大切です。集中力が途切れないような位置に机を置いて授業を受けるようにしたり、短い時間で区切ってやるべきことを行うように声掛けをしたりするなどの対策を行います。

〈行動への介入〉

ADHDの子どもに対して、周囲の方は怒ったり注意したりすることが多くあるかと思います。しかし、ご本人は何度も指摘されることで「自分は何をやってもダメだ」と落ち込んでしまうものです。そのため、できないことではなく、できることに注目して積極的に褒めてあげるようにしてください。そうすることで、「褒められるようにもっと良い行動をしよう」と気持ちを改めてくれるようになります。

必要な人に、必要な医療を

ADHDをもつ子どもは、自分自身でも生きづらさを感じて毎日を過ごしています。お互いがストレスなく日々の生活を送れるようにするためにも、適切な治療を受けることが大切です。しかし、ご本人が病院の受診を嫌がってしまうこともあるでしょう。

本人が医療機関を受診することが難しい場合は、まずは地域相談支援センターや保健所といった公的機関に相談することで、専門機関につながり、個々のケースに合った援助や医療の提供を受けることが可能です。

医療法人社団心清会では、ご本人およびご家族が困っていながらも通院が困難な方を対象に、精神科医療を基盤とした在宅医療を行っています。