医療法人社団 心清会
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更年期障害

更年期障害とは

更年期障害とは、更年期にさまざまな症状が現れ、日常生活に支障をきたす状態のことです。女性は年齢とともにホルモンバランスが変化し、思春期、性成熟期、更年期、老年期と大きく4つのステージを歩んでいくことになります。

なかでも更年期は、人によって更年期障害が現れるため、さまざまな症状を抱えながら生活している方が少なくありません。更年期とは、閉経前後10年間のことです。閉経する年齢には個人差がありますが、50歳前後で閉経することが多いといわれています。そのため、45~55歳ごろを更年期と呼ぶことが一般的です。

更年期障害は、年齢とともに卵巣の機能が低下することで起こります。卵巣からはエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されており、更年期に入るとエストロゲンが大きくゆらぎながら低下するため、ほてりやのぼせ、動悸などさまざまな症状が出てしまうのです。

エストロゲンが低下すると、体は「もっとエストロゲンを分泌するように」と指示を出します。しかし、指示を受けても卵巣の機能が低下しているため、エストロゲンはあまり分泌されません。このことが原因で自律神経の調節がうまくいかなくなり、結果として日常生活に支障をきたすほどの症状が出るわけです。

ただし、エストロゲンの分泌量が減ったからといって、すべての女性が更年期障害になるわけではありません。ほとんど症状を感じることなく更年期を終える方もいれば、動くのが億劫になったりイライラしやすくなったりなどの症状を抱えながら更年期が明けるのを待っている方もいます。更年期障害の症状がつらい場合は、治療により楽にすることができるので、気になる場合は早めに婦人科を受診しましょう。

更年期障害の症状

更年期障害では、次のような症状が見られます。

なかでも肩こりや疲れやすさ、ホットフラッシュや発汗は更年期障害で出やすい症状です。「なんとなくいつも調子が悪い」「ちょっとしたことですぐに大汗をかいてしまう」などのような症状が続くようでしたら、更年期障害を疑いましょう。

更年期障害であることに気が付かず、「疲れているだけかな」「気のせいかもしれない」と治療を後回しにしてしまう方が多くいます。更年期障害は我慢しなければいけないものではありません。人によっては何年も症状が続きますので、日常生活をこれまで通り送るためにも早めに適切な治療を受けることをおすすめします。

更年期障害の治療

更年期障害の治療は、おもに薬を使った方法が行われます。

〈ホルモン補充療法〉

ホルモン補充療法とは、減少したエストロゲンを薬によって補う治療法です。ホットフラッシュや発汗など、更年期障害の代表的な症状を軽減することができます。子宮がある方は、子宮体がんを予防するために一緒に黄体ホルモンも補うことが一般的です。ホルモン補充療法に使われる薬には、飲み薬や貼り薬、塗り薬と剤形があるので、使いやすいものを選びましょう。

〈漢方薬〉

漢方薬は、いくつかの生薬が組み合わさってできた薬です。たりないものを補い、多すぎるものは減らし、流れが悪いものは巡りを良くすることで症状を改善していきます。体質や症状によって合う漢方薬が異なるため、まずは自分にぴったりの漢方薬を見つけることが大切です。

漢方薬はホットフラッシュや発汗を抑えるだけでなく、イライラや不眠などに効果があるものもあります。幅広い症状に対応できることが特徴です。

〈向精神薬〉

気分の落ち込みやイライラ、不眠などの症状がつらいと感じる場合は、向精神薬を使うこともあります。抗うつ薬や抗不安薬、催眠鎮静医薬などを使って、症状を抑えてあげるのです。一部の抗うつ薬には、ホットフラッシュに効果があるものもあります。

更年期障害は心理的な要因や環境要因も関係している

更年期障害といえば、エストロゲンの減少に伴う症状として知られていますが、実はほかにも原因があるのです。心理的要因や環境要因も関係していると考えられています。物事をどう考えるかという自身の性格や、仕事や家族関係などが更年期障害の発症に関係しています。更年期障害はストレスと関係しているとも言われますので、治療を行うためには症状が出にくいような環境を作っていくことも大切です。人によって更年期障害になる原因は異なります。そのため、その人の原因に合った対策をしていかなければなりません。

必要な人に、必要な医療を

更年期障害は、外出するのが難しくなるほど強く症状が出る方もいます。「婦人科に行きたいけど体が動かない」「婦人科の受診には抵抗がある」という方は、在宅で治療を受けることを検討してみてはいかがでしょうか。

本人が医療機関を受診することが難しい場合は、まずは地域相談支援センターや保健所といった公的機関に相談することで、専門機関につながり、個々のケースに合った援助や医療の提供を受けることが可能です。

医療法人社団心清会では、ご本人およびご家族が困っていながらも通院が困難な方を対象に、精神科医療を基盤とした在宅医療を行っています。