こころの病気はからだの病気と同じように、専門知識のある医師や医療関係者による治療を必要とします。周囲は「こころが弱いから病気になる」など本人の性格の延長線で考えてしまいがちですが、こころの不調は発熱などのからだの症状と同じように本人にはコントロールできないものです。こころの病気の多くは早めに治療を開始することにより回復も良いとされています。しかし、様々な理由で精神科への受診に抵抗を感じる方も多くいらっしゃいます。
ご本人のおっしゃることが理解しがたいものであったり事実とは思えない内容だったとしても、そのことを完全に否定するのではなく、
「あなたが辛い思いをしていることはわかる。クリニックに行けばそれに対する解決法を教えてもらえるかもしれない」
とお勧めすることはできます。
ご本人様の受診が難しくご家族様の心配が続くような場合は、ご家族様だけの相談にも対応させていただいております。患者様だけでなく、ご家族様も問題を抱え込まずに医療相談室までご連絡ください。
当クリニックでは、ご家族からのさまざまな悩みや問題に関して相談を受けております。
「徐々に外出が可能になり、ご本人からやりたい事の目標設定が出来るようになっていきました。」
発症時期:青年期
最も重い時の症状:妄想から外出が困難になり、医療機関への受診が長期間できなくなりました。
当クリニックを受診した経緯:ご家族が定年を迎えて先行きの不安を感じて保健所に相談したところ、当クリニックをご紹介されました。
―当クリニック受診前の症状
「誰かに監視されている」と訴え、ご家族と共に精神病院に受診して入院しました。退院後は自宅でご家族と生活をしていましたが、服薬がうまくできないため病状が悪化して再入院になりました。退院後はひきこもりになり自室にこもり精神症状に悩まされる日々が続くも、妄想から外出困難のため医療機関に繋がらない期間が長期化しました。
―当クリニック受診
ご家族が定年を迎えて先行きの不安を感じて保健所に相談したところ、外出が難しく、再発を繰り返しているのであれば精神科在宅医療が良いだろうということで当クリニックをご紹介されました。当クリニックの初回面談では辛くても、外に出れない、受診が継続しないとのお話があり、ご本人の同意の元、訪問診療開始となりました。また、処方を再開して合わせて精神科訪問看護を導入しました。
―当クリニック受診後
訪問診療を行うことにより治療に対するモチーベーション向上し、精神症状の改善に繋がりました。精神科訪問看護で訪問した際に、一緒になって服薬管理(カレンダーにセット等)を行うことにより、定期的な内服を行えるようになりました。結果、徐々に外出が可能になり、ご本人から作業所への通所などやりたい事の目標設定が出来るようになっていきました。
その後、訪問時に社会資源の情報提供を行い、ご自身で選択できる環境を整えていきました。現在では、作業所の通所をしてご自分の居場所を見つける事ができるようになりました。
「定期的に通所を行える様になり、ご家族の負担軽減に繋がりました。」
発症時期:成人期
最も重い時の症状:自宅にこもるようになり、イライラすると怒声をあげて自宅の家具を壊すようになりました。
当クリニックを受診した経緯:ご家族のサポートに限界が出てきたため、保健所に相談してクリニックを紹介して頂きました。
―当クリニック受診前の症状
乳幼児期に熱性けいれんを起こして入院歴がありました。学童期には養護学校へ進学して青年期から作業所に通所していましたが、体調不良を訴え通所に行かなくなりました。その後、いくつか通所先に見学に行きましたが色々な理由を訴えて自宅にこもりイライラすると怒声をあげて家具を壊すようになりました。
―当クリニック受診
ご家族の疲労が溜まって対応が限界になり行政にご相談されましたが、患者様ご本人が外来受診を拒否している為、精神科訪問診療を行っている当クリニックへのご依頼になりました。当クリニックが訪問診療を開始して服薬調整を行い、精神科訪問看護についてもご家族のフォローも目的に検討していきました。
―当クリニック受診後
訪問診療開始後は怒りやすさが軽減され、同時にご家族の疲労が軽減しました。また、ご本人から外に出る練習がしたいというご要望を受けて精神科訪問看護で、近所から外出訓練を行いました。その後、単独での外出が行えるようになったため再び通所を促しました。ご本人としては作業所を再開したいとのことでしたので、再度情報提供して地域相談支援センターへ繋がることになりました。結果、定期的に通所を行える様になりご家族の負担軽減に繋がりました。
「定期的に通所を行える様になり、ご家族の負担軽減に繋がりました。」
発症時期:青年前期
最も重い時の症状:強迫観念により徐々に外出の頻度も減り、完全閉居で昼夜逆転する生活になりました。自身の排泄に関して排泄後には必ず入浴をするようになりました。
当クリニックを受診した経緯:ご家族のサポートが難しい為、行政機関にご相談。地域包括支援センターの職員面談時に患者様ご本人への強迫観念に対する治療、引きこもりの解消が必要と考えられ、当クリニックへ訪問診療のご依頼となりました。
―当クリニック受診前の症状
幼少期から匂いに敏感で給食の食器の匂いで嘔吐して、同級生からいじめられ食事が摂れなくなりました。食事に対してこだわりが強くなり、本人が食べられるものを選択して食べるようになりましたが、親の指導や工夫により食事に対しての思い込みは改善されました。その後、学童期になると不潔感に対しての強迫観念が増し、手を洗う行動と時間が徐々に増えて行って、外出後や排泄後は身体を洗わなければならないという強い思い込みをするようになりました。また、強迫観念より徐々に外出の頻度も減り、完全閉居で昼夜逆転する生活になりました。自身の排泄に関して排泄後には必ず入浴をするようになりました。
―当クリニック受診
地域包括支援センターの職員面談時に患者様ご本人の強迫観念への治療、引きこもり状態の解消が要と考えられ、当クリニックへ訪問診療のご依頼となりました。当初、ご本人は不潔恐怖などの強迫観念に対する、精神科領域への診療に対して拒否的でしたが、当クリニック相談員が訪問を続けて信頼関係ができたことから訪問診療を開始しました。
―当クリニック受診後
薬物療法と訪問看護の外出訓練により、徐々に外出が出来るようになりました。今後については作業所に通いたいという気持ちがあるため、治療を継続しています。
発症時期:成人期・青年期
最も重い時の症状:外出すると、過換気症候群や動機のパニック発作が出現するようになり精神科クリニックに通い投薬を開始しましたが、外出に恐怖を感じることがあり、定期的な外来受診も家族が代理で行くのみになりました。しかし、同時期にご家族もうつ状態となり外出ができなくなったため生活保護の受給を開始しました。
当クリニックを受診した経緯:全てのご家族の通院が出来なくなったため生活保護のケースワーカーに相談し、ご家族の同意を得て代理でケースワーカーから当院にご相談。
―当クリニック受診前の症状
家庭環境の変化によるストレスと過酷な労働を行ったことにより引きこもりになり、この頃から不安感や気分の波が出現。精神状態の悪化から仕事を辞めました。また、青年期から電車に乗っている際に気分が悪くなる不安に襲われるという事を繰り返していました。仕事ができなくなると精神科クリニックに通い投薬を開始しましたが、外出に過換気症候群や動機のパニック発作が出現するようになり、予約の時間にも通院することができなくなり、定期的な外来受診も家族が代理で受診をして処方薬を受け取るのみとなりました。しかしその後ご家族もうつ状態となり外出ができなくなり代理受診も不可能になりました。また親子ともに仕事が出来なくなり、生活が困窮し生活保護の受給を開始しました。
―当クリニック受診
代理通院していたご家族がうつ状態になり通院が出来なくなった為、生活保護のケースワーカーに相談し、ご家族の同意を得て代理でケースワーカーから当院にご相談。
―当クリニック受診後
当院の訪問診療開始し、治療中ではありますが徐々に外出ができるようになり、コンビニへの買い物程度であれば、過換気症候群の発作は起こらず、外出できるまでに症状も改善されています。当クリニックの外来通院に切り替えるように調整中ですが、発作が起きるのではという外出に対しての恐怖は残存しており、訪問診療、訪問看護を継続していますが、外来受診に向けて治療中。
「本人が穏やかに暮らせて、家族の心配は減りました。」
発症時期:乳児期
最も重い時の症状:知的障害に加えて、転倒・痙攣をおこし意識を失い呼吸困難に陥ることがありました。
当クリニックを受診した経緯:患者様ご本人の暮らしを支える事に不安があり、今後は制度を利用して患者様ご本人が自立生活を送れるようにしたいというご家族の希望がありました。
―当クリニック受診前の症状
知的障害により視覚、聴覚に関して敏感であり、気分によって手で目や耳を塞いだりと自ら感覚を遮断し、自分以外の環境から逃避することが認められました。ご自分の思い通りに行かない時や気分が乗らないときには、感情が表面化することも。人が集まったり何かの感情が全面的に出た後には、痙攣や転倒をする様な発作を起こすこともしばしばありました。
―当クリニック受診
生活をサポートしていたご両親が他界したため他のご家族が支えることになりましたが、患者様ご本人の暮らしを支える事に不安があり、今後は制度を利用して患者様ご本人が自立生活を送れるようにしたいというご家族の希望がありました。また、定期的な専門医療に一度もつながっていないこと、家族以外との関わりが全く無いことを考慮し、ご本人が安心する自宅での診察、及び治療者の介入というご希望があり行政機関へのご相談でした。その後、ご家族の了承を経て、他ケースの関係があった行政機関から当クリニックにご相談されました。
―当クリニック受診後
患者様ご本人の面談を兼ねてご自宅に訪問すると、ご本人は当クリニック相談員の前を足早に通り過ぎるのみでしたので、訪問を重ねて信頼関係の構築を図る必要あると判断して、訪問看護によるご本人と第三者の交流をご家族にご提案しました。また、ご本人が利用できる自立支援医療、精神障害者保健福祉手帳の利用を目的に転倒や痙攣の治療を提案するとともに、第三者とのコミュニケーションを図れるという目標で当クリニックの訪問看護を併用しました。訪問から1年半後、訪問看護での関わりが増えたことにより、内服を開始することができるようになった為に転倒や痙攣の症状も改善されました。その後、ご家族が希望された自然あふれる専門施設への入居となり、当クリニックの訪問診療の役目を終えました。
「被害的な言動や怒りっぽさが軽減し、通所サービスも利用可能となり、ご家族の負担軽減になりました。」
発症時期:老年期
最も重い時の症状:怒りっぽさが目立ち、家族に対して攻撃的な言動が増えるようになりました。
当クリニックを受診した経緯:ケアマネージャー様からのご相談。
―当クリニック受診前の症状
1年程前から物忘れが目立つようになり、自分で財布を置いた場所が分からなくなり「誰かが盗った」「隣人が家に入ってもっていった」「家族が盗んだ」と言うようになりました。最近では怒りっぽさが目立ち、人に対して攻撃的な言動が増えるようになりました。ご家族の負担軽減を目的に通所介護サービス利用を試みましたが、些細な事で職員や他の利用者に怒ってしまい利用が難しくなりました。
―当クリニック受診
一人で通院する事は出来ず、家族で通院付き添いも難しかった状況のため、ケアマネージャー様より当クリニックにご相談をいただいた結果、訪問診療にて介入、薬物療法を開始しました。合わせて訪問看護も導入し、内服管理、ご家族の精神的ケアを始めました。
―当クリニック受診後
その後、物忘れ自体はありますが被害的な言動や怒りっぽさは軽減し、通所サービスも利用可能となり、精神科訪問看護の際に介護負担の辛さを語ることで、ご家族の負担軽減になりました。今後は月に1回程度からショートステイサービスの利用も検討できる状態となり、ケアマネージャー様も安心され、さらなるご家族の負担軽減を計画しています。
「訪問診療や訪問看護時に、抱え込んでいた仕事のストレスを吐き出す事により徐々に精神的に安定を取り戻しました。」
発症時期:壮年期
最も重い時の症状:心療内科に通院しましたが、徐々に抑うつ傾向が強くなりベッドから起き上がる事も億劫になりました。
当クリニックを受診した経緯:患者様ご本人は治療を受けたいという気持ちはあるがどうしても体が動かない状態であり、ご家族から当院に訪問診療のご依頼を受けて介入しました。
―当クリニック受診前の症状
職場での人間関係がきっかけで抑うつ、不眠、不安感が出現して、仕事もミスが続くようになり休職する事になりました。心療内科に通院しましたが、徐々に抑うつ傾向が強くなりベッドから起き上がる事も億劫になりました。
―当クリニック受診
患者様ご本人は治療を受けたいという気持ちはあるがどうしても体が動かない状態。しかし入院までは希望されないため、ご家族から当院に訪問診療のご依頼を受けて介入しました。薬物治療を行うとともに訪問診療や精神科訪問看護時に、精神療法を行うことで抱え込んでいた仕事のストレスを吐き出し、徐々に精神的に安定を取り戻しました。
―当クリニック受診後
現在も日により気分の波はありますが、受診前よりはかなり精神状態は安定傾向となりましたので、今後復職に向けて生活リズムを安定させる事、簡単な用事を作って外出するなどリハビリから始めています。
「内服の管理指導及び生活上の逸脱行動を控えるよう助言を行うことにより、徐々に感情の起伏は安定しました。」
発症時期:壮年期
最も重い時の症状:寝たきりになるほどのうつ症状、および金銭的な逸脱行動などの躁状態を繰り返しました。
当クリニックを受診した経緯:ある時から、うつ状態の寝たきりになり食事や家事が行えない状態のため、ご家族が当クリニックに打診されました。
―当クリニック受診前の症状
過去に双極性障害の診断を受け治療を受けていましたが、状態改善したためご本人の希望で通院は中断していました。
―当クリニック受診
ある時からうつ状態の寝たきりになり食事や家事が行えない状態となりました。過去通院した病院にかかろうと家族が受診を試みましたが、拒否されており外出が難しく、ご家族がインターネットで検索し当クリニックに打診されました。
―当クリニック受診後
訪問診療にて介入し、薬物療法で抑うつは改善しましたが、「家の家具を全てフリーマーケットで売る」と言い、近隣住人の方にもそれを誘い続けるなど躁状態に転じる言動が見られました。内服が不規則になっている事が判明したため、精神科訪問看護を導入しました。内服薬の見直しと調整を行い、内服の管理指導及び生活上の助言を行うことにより、徐々に感情の起伏は安定しました。現在は外来通院への移行を検討しています。
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