精神保健福祉士 久保

耳で“聞く”だけではなく、心で寄り添って“聴く”ことを大切にしていきたい

精神保健福祉士 久保

耳で“聞く”だけではなく、心で寄り添って“聴く”ことを大切にしていきたい

患者様と医療、患者様と社会をつなぐ仕事

―精神保健福祉士という職業に就いたきっかけを教えて下さい。

高校生の頃に受けた倫理の授業で心理学や精神医学の話を聞いてこの分野に興味を持ち、大学で精神保健福祉士の資格を取得しました。卒業後、一旦は別の業界に進んでいましたが、せっかく取得した資格を活かして働きたいと考えて転職活動を始めました。就職先の候補としては入院施設のある病院やデイケアのような施設が多かったのですが、個人と病院との関係性を考える中で、外来や入院とは異なる形で患者様と関わる在宅医療に魅力を感じたため、この浅草ファミリークリニックに入職することにしました。

―現在、どのような形で日々のお仕事に臨んでいるのでしょうか。

訪問看護や訪問診療補助に加え、役所や保健所、あるいは入退院が発生する際の病院との調整などを行います。それから、当クリニックに最初にご相談をいただいた際に事前面談を行い、どのような関わり方が望ましいかを考えるようなことも担当しています。簡潔に言えば、患者様と医療、患者様と社会をつなぐのが主な仕事ですね。

―日々の仕事の中で意識していることや大切にしていることを教えて下さい。

患者様に押し付けにならないようにすることは意識しています。患者様が何かの行動や判断をする際、私個人としては「こうした方がいいんじゃないか」と思うこともありますが、ご本人なりの考えや理由があってその行動に至っているんです。それを把握した上で、時には先導するようにしたり、隣に寄り添うようにしたり、あるいは後ろから見守るようにしたりと、その都度その都度、状況に応じて立ち位置を変えながら接していくようにしています。

もちろん危険な状況に陥ってしまうような場合は別ですし、支えすぎると依存されて自立を妨げることにもなってしまうのでバランスには注意が必要ですが、基本的に患者様ご本人の気持ちを尊重した上で、一緒に歩んでいくことを大切にしています。

簡単にマニュアル化できるわけではない

―この仕事にはどのようなやりがいがあると感じますか。

やはり、患者様の状態が改善する時です。例えば長年ご自宅に引きこもられていたある患者様がいたのですが、じっくりと時間をかけて訪問看護をして、時には数時間に渡ってお話を聞くようにしていったところ、少しずつ病状が回復していくようになりました。最近では、別の病院になりますが外来に行けるようにもなってきたので、私としても喜んでいます。

―反対に、大変だと感じるのはどんな時でしょうか。

訪問先が必ずしも綺麗な部屋ではなく、時にはとても散らかった部屋に伺うこともあります。ある時には、たくさんの虫が発生してしまっていたのですが、患者様が業者を入れることを拒んでいたため、決して虫が得意なわけではなかったのですが、患者様が業者を呼ぶ決心がつくまでの間、訪問していた私の方で一時的に気休め程度に駆除のようなことをしていたこともありました(笑)

もっと効率よく仕事を回していければと思うシーンもあるのですが、この例のように通り一遍の対応では済まない仕事ですので、簡単にマニュアル化などができないという点は大変と言えば大変かもしれません。

“コミュ力”は自然と鍛えられる

―昨今、社会情勢も目まぐるしく変わっていますが、今後どのように患者様にアプローチをしていきたいと考えていますか。

外出したり、人と直接会うことに制限が掛けられたりする世の中では、当然色々なことに注意しなくてはなりません。ただ、一人でずっと家の中にいると、悩んだり考え込んだりしてどんどん調子が悪くなってしまう方も少なくないんです。そうした方々に対しては、時にはオンラインでの対面も行いますが、可能な限り直接お会いしてしっかりとコミュニケーションを取っていくことで、予防をしていきたいと考えています。

―入職を検討している方にメッセージをお願いします。

精神保健福祉士の資格を取得するために学生時代に学んでいた中で、今でも強く心に刻んでいる言葉があります。それは「耳で“聞く”だけではなく、心で寄り添って“聴く”ことを大切にすべき」というものです。文字通りですが、患者様と接していく際には単に耳で話を聞くのではなく、心を込めて接しながら話をお聴きし、一人の人間として尊重していけるようにしなさい、という意味の言葉です。そういったことができる人と一緒に働けるといいなと思っています。

それから、現代社会はいわゆる“コミュ力”が大事と言われています。確かにその通りですし、この仕事も“コミュ力”が必要ではあるのですが、仮に自信がなくても、現場で患者様やそのご家族、同僚たちと接していくと、“コミュ力”は自然と鍛えられるものなんです。私自身、人見知りのきらいがありましたが、やってみると意外と気にならなくなっていきました。共に成長できる環境ですので、自信がなくてもこの仕事に興味があればチャレンジしてみてください。

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